相続

底地と借地権の相続(更地・底地・借地権)

2023-08-26

身内の不幸があり、「底地と借地権の相続税の計算方法、売り方による売却額の違い」を調べたので紹介しますね。

基本的には税理士さんが遺産額の一覧を作ってくれます。しかし、その一覧を貰う前に「おおざっぱでいいので配分を考えといてください」と言われてしまい、うちの底地は一体いくらなんだろうと調べることになりました。

123to

同じ状況の方の参考になれば幸いです(素人調べなので詳しくは専門家の記事などをご参照ください)。

この記事で分かること

・相続税の計算方法、相続の節税
・相続以外の節税
・土地の相続の方法は4通り
・土地の相続税評価額の計算方法
・底地と借地権の相続の計算方法、売り方による売却額の違い

【基本】相続税の計算方法と節税

相続税の計算方法

1.課税額を法廷相続分で按分して、それぞれの税率で「仮の相続税」を出します(下図参照)
2.それを実際の配分の割合に応じて分けます

分かりやすいように1億を例にしました。相続人が妻+子2人の場合です。

特殊なのは「配偶者控除」があることです。配偶者は「1億6千万円もしくは法定相続分の大きい方の額」を控除(非課税に)できます。
するとこう思うのでは?
「配偶者がすべて相続すると一番の節税になる」
違います。

今回の相続だけを見れば「配偶者がすべて相続する」のが一番の節税になります。しかし、お金が残りそうな場合は、次世代の相続を考えると違ってくるんです。

というのも、法廷相続人の人数によって控除額(非課税の額)が変わります。控除額が多いときに子が相続した方が控除の割合が多くなるので節税になるんです。

また、子が相続するときは相続人の人数が減るので、1人あたりの法定相続分の額が増えて税率が高くなる可能性があります。

以上が、相続税の基本です。次は他の節税方法についてです。

相続以外の節税方法

税理士さんに言われたのは、「親 → 子」より「親 → 孫」の方が節税になるということ。相続を1回分飛ばせます。

いくつか方法はありますが、一番簡単なのは「贈与」の非課税枠の110万円以内で贈与する方法です。有名ですよね。しかし、毎年渡していると数年分の総額で贈与税がかかる可能性があります(引っかかる場合と引っかからない場合があるので調べてみてください)。
また、24年から施行されるのが「亡くなる前の7年間の贈与は相続に組み込まれる」こと。

贈与はこのへんが注意のポイントです。

【基本】土地の相続方法 4つ

まずは相続税の計算の前に、土地の相続の方法(4つ)についてです。

現物分割:「土地を半分にする」、「兄に土地、弟に同額の現金など」
代償分割:「兄が土地を貰い、兄が弟に土地の半額を現金で渡す」
換価分割:「土地を売って現金を分割する」
共有分割:「共有名義にする」

底地や借地権は「分割しにくい・売り方で売却額が変わる・すぐに売れない」ので、「現物分割」「代償分割」「換価分割」は難しいですよね。「共有分割」はデメリットが多いのも困るところ。

※ ネットで調べると「共有分割(共有名義)」はトラブルが多いのでやめた方がいいと書かれていることが多いです。

また、いらない土地は相続しないで市町村に寄付できないの?と思いますが、できません。相続後に国に引き取ってもらうことはできますが、条件がこまかくあります。

土地の相続税の計算・売却額(更地・底地・借地権)

まずは用語の違いです。

土地に関する公的な価格
・公示価格(国土交通省)… 公共事業用の価格
相続路線価(国税庁)… 相続税の計算に使う価格・公示価格の8割ほど
固定資産税評価額(市町村)… 固定資産税の計算に使う価格・公示価格の7割ほど

実際の売却額(実勢価格)は公示価格~1.1倍くらい。しかし、実際に調べないと分かりません。人気のエリアは高くなりますし、逆もあります。

相続税は「相続路線価」または「固定資産税評価額」を使って計算します。

相続税評価額

まずは更地で計算します(2通り)
「固定資産税評価額(毎年支払ってるものを見て)÷0.7×0.8」
「路線価×平米数」(プラマイあり)

底地や借地権は、「相続路線価」のアルファベットの割合で出します。うちの底地はDの4割なので「上記の計算×0.4」です。

路線価は国税庁の「相続路線価」で調べます(ネットで誰でも見れます)。
その土地に接している道路の数字をもとに「平米数を掛け算」した後、「土地の形状などにより額が増減」します(増減の計算は税理士さんがやってくれる)。

底地と借地権の売却価格

底地と借地権は売り方によって価格が変わります。売り方で額が変わると相続の分け方が難しいですよね…。

地主
・底地単体で売却(更地の1割程度)
・地主と借主が一緒に売却(借地権割合~半々)
・底地を借主に売却(借地権割合~半々)
・更地で返却されれば10割
借主
・更地で返却(解体費用分マイナス)
・借地権単体で売却(更地の1割程度・地主に売却額の1割を支払い)
・地主と借主が一緒に売却(借地権割合~半々、解体費用を負担?)
・借地権を地主に売却(借地権割合~半々、解体費用を負担?)

いずれも交渉次第で変わります。

どの売却方法になるかは、借主の権利が強いので借主主導になるかと思います。
落としどころとしては、借主がお金が欲しい場合は「一緒に売却」、借主が楽をしたいなら「解体せずに返却を提案してみる」あたりなのかなと思います。契約は更地で返すことになっていますが、解体費用が数百万円かかりますから。

また、更地だと固定資産税が上がります。うちは固定資産税が4倍くらいになります。噂だと更地は6倍なんて言いますが実際は3~4倍が多いようです。

123to

土地に詳しい親戚の助言では「借主と一緒に売るのがいいよ」と言われました。また他の親戚は「更地で返して貰った」と言っていて、こればかりは借主と地主の状況によりますよね。

土地だけの相続シミュレーションをしておくといい

これは皆さんやると思うんですが、Excelで相続のパターンを色々と計算しました。うちは、今回と次の相続の2代分のパターンを作成。

やって良かったのは、子世代の相続で「遺産に現金が無く土地だけを相続した場合」の計算です。土地だけの相続って相続税が払えるか不安ですよね。うちは控除額で収まりそうでホッとしました。

こんな感じで相続の全貌を家族に話したら、皆安心したようでよかったです。

土地の相続後はすぐに売却した方がいい?

土地のままだと固定資産税がかかりますし、相続した土地を売却すると3年以内?は条件があえば特別控除を受けられます。そのため土地は早めに売却するのがオススメだそうです。
特に、相続税を支払った土地は早めに売却すると相続税分が控除されるとか。子が土地を相続した場合は早く売ると良さそうですね。

123to

ちなみに司法書士さんに「土地をどうするつもりですか?」と聞かれて、「すぐに売れる土地は売却する予定です」と話したら、「税理士さんにそのへんを話しておくと節税方法を教えて貰えるかもしれないですよ」と言われました。この特別控除のことなのか、他の方法があるのか?

税理士さんにお願いする方は、ついでに聞いてみるといいかもしれません。

うちの場合、税理士さんに教えて貰ったのは、貸している土地の建物が地震や火事で消滅した場合は借地権が戻ってきますよ…とのことでした。また、勝手に建て増しやリフォームをしていないか、たまに確認に行った方がいいとのこと。

※ この記事は素人調べなので間違いがあるかもしれません。詳しくは専門家の記事などをご参照ください。

(資料中のイラストは「相続イラスト.com」さんからお借りしました)

-相続
-